「『死生(しせい),命(めい)あり』(人間の生死は天命の定めるところである〈論語〉)」(『雨月物語』,上田秋成,高田衛校訂・訳,小学館)
◯命のはかなさや人生の短さに思いを致すことは大切であるが,それはあくまでも,人生を大切にし,人生を生きる喜びに満ちた幸せなものにするために大切なのである。人間死ぬ時は死ぬのであり,死を免れようとしてじたばたしたり,死ぬことを恐れて上の空で生きたりしたのでは,生きる喜びに満ちた人生を送ることは難しく,かえって人生をおろそかにする結果になりかねない。良寛の言葉にも,「死ぬる時節には死ぬがよく候」とある。(2020年2月9日)