「何人(なんぴと)も他人の助力なしで暮らせるものではない。それゆえわれわれは互いに慰(なぐさ)め合い,話し合い,誡(いまし)め合って助け合わねばならない。(『聖賢の思想』より)」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯私たちの人生は,顔さえ見たことのない数知れぬ他者の支援によって成り立っているのである。そのことを正しく認識できるだけの想像力を持つならば,他者と敵対するのではなく他者と融和し,他者を蹴落とそうとするのではなく他者と助け合い,他者の不幸を喜ぶのではなく自分の幸せを慎み深く他者と分かち合おうとすることは,人間としてとても自然なことなのではないだろうか。(2020年1月18日)