「善(よ)き人々は,あえてそのことを意識せぬまま互いに助け合っている。しかしながら悪しき人々は,意識的に互いに敵対行動をとるものである。(中国の俚諺(りげん))」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯他者に対する感謝の気持ちを忘れさえしなければ,私たちは自然に,他者と融和し,他者と助け合い,自分の幸せを他者と分かち合って生きようとするのではないだろうか。他者に対する感謝の気持ちを忘れているからこそ,私たちは自分と他者を比較して,他者の幸せを妬んだり(他者の不幸を喜んだり),自分が不幸であることを他者のせいにして他者を恨んだりして他者と敵対するのである。そして,他者と敵対することで,他者に対する感謝の気持ちをますます失ってしまうという悪循環に陥るのである。(2020年1月17日)