「格差の縮小が常に善とは限らない。所得格差を最も効率よく縮めるのは,疫病,大戦争,破壊的革命,そして国家崩壊なのだから。」(『21世紀の啓蒙(上)』,スティーブン・ピンカー,橘明美・坂田雪子訳,草思社)
○安定した平和な社会においては必然的に経済格差(所得格差・貧富の差)が拡大するというのが事実なら,私は,経済格差は小さいけれども不安定で戦争などが絶えない社会ではなく,経済格差は大きいけれども安定した平和な社会で暮らすことを望みます。なぜなら,命以上に価値のある大切なものはこの世の中に存在せず,また,経済格差がいくら大きかったとしても,心の持ち方次第で実り多い幸せな人生を送ることは誰にでも可能であると思うからです(もちろん,生きていくのに最低限必要なものやお金が確保されないような貧困状況は,何としてでも解消・改善される必要があるとは思いますが。)。しかし,経済格差の小さい安定した平和な社会というものは,本当に実現し得ないものなのでしょうか。誰もが必要以上に欲張り続ける限り,その実現は難しいと思いますが,誰もが必要以上に欲張り続けることさえやめるなら(誰もが足るを知り,生きていくのに必要なものやお金だけで満足するようになるなら),富は全世界(全人類)に行き渡り,経済格差の小さい安定した平和な社会の実現は,決して不可能なことではないのではないでしょうか。(4)(6)(21)関連