「役立つ仕事はそれ自体が楽しみであって,ひとがそこから得る利益によって楽しみなのではない。(アラン『幸福論』)」(『心をささえる一言』,河盛好蔵,青春出版社)
○自分が好きなことに打ち込み,自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとの他者や社会の役に立てるということは,それ自体が心から感謝すべき有り難いことであり,幸せなことです。したがって,自分が好きなことに打ち込めている人が,財産や地位や権力や名声などまで手に入れようとしたり,それらが手に入らないからといって不満を抱いたりするのは,欲張り過ぎというものです。「二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず」と言います。財産や地位や権力や名声などに執着すれば,自分が好きなことに全身全霊で打ち込むことも難しくなり,結局は,どちらも失う(手に入れられない)結果になってしまうのが普通です。自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとの他者や社会の役に立ち,思い残すことのない充実した有益な人生を送ることを望むのであれば,すなわち,自分の人生に大きな悔いを残したくないと望むのであれば,財産や地位や権力や名声などに対する執着など捨て去り,自分が好きなことに全身全霊で打ち込むことにこそ,気持ちを集中し,限りある大切な時間やエネルギーを使うのが賢明であると思います。財産や地位や権力や名声などを手に入れたからと言って,思い残すことのない充実した有益な人生を送れる保証などどこにもないのですから。(1)(10)(11)(13)(14)(20)関連