社会的な成功を収め，財産や地位や権力や名声などを手に入れることではなく，思い残すことのない充実した有益な人生を送ることをこそ目指すべきであると思いますが，自分が本当にやりたいと思える好きなことに全身全霊で打ち込み，最善を尽くした結果として，思い掛けず社会的な成功を収めてしまうようなこともあるかも知れません。しかし，それはあくまでも結果であり，社会的な成功を収めることを人生の目的にすべきではないと思います。自分が好きなことに打ち込めている人が，財産や地位や権力や名声などまで手に入れようとするのは，欲張り過ぎというものです。「二兎（にと）を追う者は一兎をも得ず」，「欲はふたつでも身はひとつ」（五味太郎）などとも言うように，両方を追い求めれば，結局は，どっち付かずになり，どちらも得られずに終わってしまうのが落ちです。自分が好きなことに打ち込めるというのは，それ自体が有り難いことであり，心から感謝すべきことなのですから，たとえ財産や地位や権力や名声などが手に入らなかったとしても（それが普通ですが。），そのことで不平不満を募らせたり，他者や社会を責め立てたり，境遇や運命を嘆き悲しんだりすべきではないと思います。
