「君がしなければならないのは,自分の意見を主張することではなくて,本当の考えを知ること,自分の立場や都合を超えた,誰にとっても正しい考えを,自分で考えて知ることだけなんだ。」(『14歳の君へ』,池田晶子,毎日新聞出版)
○対話や議論の主たる目的は,相手(他者)を言い負かすことではありません。話し合い,互いに意見や知恵を出し合うことによって,正しい考え(真理)に近付くことや様々な問題に対するより善い対応策を導き出すことこそが,対話や議論の主たる目的です。対話や議論を不毛なもの(例えば,揚げ足取りのようなもの)にさせないためにも,その参加者は,自分の意見を強く主張することにではなく,より正しい考えに近付くことなどにこそ,より大きな関心を払い,より大きな力を注ぐことを心掛けたいものです。なお,大きな影響力を持つ有名人が軽はずみな発言をすれば,その発言によって一時的にせよ多数の人間を誤った方向(誤った判断や行動)に誘導してしまう危険性があります。有名人が何か発言をする際には,できる限り正確な情報に基づいて発言すべきであるのは当然のこととして,自分が持っている影響力の大きさや自分の発言に誤りが含まれている可能性があることを十分に認識した上で,断定口調は極力控え,慎重の上にも慎重を期して発言してもらいたいものです。(12)(17)関連