「対話とは言葉を交わし,物事の正しい筋道となる論理を分かち合いながら,ともに理性を働かして共同で真理を追究することです。」,「ソクラテスは,理性をもつ者が問答するという共同作業を通じて,人間の善い生き方について普遍的な真理を見い出そうとしたのです。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○敵対する人間同士の対話や議論は,相手を言い負かすことが主たる目的になりやすいため,どうしても不毛なものになりがちです。したがって,対話や議論を実り多いものにしたいと本気で望むのであれば,たとえ相手が自分と敵対する人間であったとしても,少なくとも対話や議論をしている間は,対話や議論は「戦い」ではなく「共同(協同)作業」であるということを忘れることなく,相手を競争相手(敵)ではなく協力相手(味方・仲間)と見なし,対話や議論の本来の目的を見失わないようにする必要があります。意見を交わし,知恵を出し合うことによって,真理に近づいたり,難しい問題を解決したり,物事をより善い方向に変えていったりするといった本来の目的を見失ってしまえば,対話や議論は単なる時間の無駄遣いになってしまいますので。(17)関連