実り多い幸せな人生を送るために

真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送るために

 自戒の念を込め,どのようにすれば真に人間らしく(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れるのかということについて,あるいは,実り多い幸せな人生を送ることは誰にでも可能であるということについて,様々な名言などをヒントにしつつ(それらに含まれている人生の真理を私なりに理解しつつ),できる限り分かりやすく筋道立てて説明していきたいと思います。皆様が実り多い幸せな人生を送る上において,多少なりともお役に立てれば幸いです。               皆様の人生が,実り多い幸せなものでありますように!

(12)⑥人間は自惚れやすい生き物であるという自覚を常に持っていることの大切さ。

 人間は自惚(うぬぼ)れやすく,とかく自分を過大評価しがちです。その結果,人間は自分が得意なことでこそ失敗や過ちを犯す(「策士策に溺れる」,「才子才に倒る」,「河童の川流れ」,「泳ぎ上手は川で死ぬ」,「善く泳ぐ者は溺れ,善く騎(の)る者は堕(お)つ」,「木登りは木で果てる」,「剣に生きる者は,剣で滅ぶ」,「過ちは好む所にあり」,「得意なことは 控え目に」(中井久夫)など),人間は得意になっている時ほど失敗や過ちを犯す(「勝って兜(かぶと)の緒を締めよ」,「最大の危機は勝利の瞬間にある」(ナポレオン),「高名の中に不覚あり」,「油断大敵」,「油断は怪我(けが)の基(もと)」,「生兵法は怪我(けが)の基(もと)」,「用心は臆病にせよ」,「浅き川も深く渡れ」,「百里の道は九十九里を半ばとする」,「百里を行く者は九十を半ばとす」,「一病息災」など),災は,天災だけではなく人災も,忘れた頃にやってくる(「喉元過ぎれば熱さを忘れる」,「病は癒えるに怠る」,「雨晴れて笠を忘れる」,「嵐の最中に行われた誓いは,凪(なぎ)の時には忘れられる。」(トマス・フラー),「治に居て乱を忘れず」,「安きに危うきを忘れず」など)といった現象が生じます。人間が生きていくためには,特に,無知で未熟な若者が劣等感に押し潰されることなく自信を持って前向きに生きていくためには,多少の自惚れは必要かも知れませんが,いい気になって調子に乗れば,いつか必ず痛い目に遭うことになります。自己評価(自分に対する自分の評価)と他者評価(自分に対する他者からの評価)のズレは,社会不適応のサインであるとも言われています。致命的な失敗や過ちを避けるためにも,人間は自惚れやすい生き物であるという自覚だけは,常に持っていたいものです。自惚れやすさなども含め,人間の短所や欠点や弱みを抜本的に改善することは難しいことですが,それらを自覚することは比較的容易であり,自覚することによって自分の短所や欠点や弱みによって足をすくわれる危険性は格段に低下すると思うからです。