私たちは,自分を人間的に成長・向上させ続けるべきであると思います。そのように思う理由は,せっかくこの世の中に生まれてきたからには,たとえ何かを手に入れることが何かを失うことであるとしても(何事にも一長一短がありますので,何かを手に入れるということは何かを失うということに他なりません。),自分を人間的に成長・向上させ続けることによって自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社会の役に立ち,思い残すことのない充実した有益な人生を送りたいと望むのは,人間として自然なことであり,また,社会人として真っ当なことであると思うからです。思い残すことのない充実した有益な人生を送ることができたなら,いつか訪れる死をも,泰然と迎え入れることができるのではないでしょうか。死を目の前にして慌てふためき,大きく取り乱してしまうのは,自分を人間的に成長・向上させ続けるための努力を怠ったまま,たった一度きりの人生に大きな悔い(悔やんでも悔やみ切れない思い)を残すような不毛で無益な人生を送っているからなのではないでしょうか。