「ブッダのさとった真理は，すべて万人に説きあかされたと宣言しています。「秘伝」「奥義」と称し，特別の門弟にしか伝えないような，まるで握拳（あつけん）にかくした「秘密の教え」などは一つもない。・・・真理は万人のものである。太陽や月があらゆる人々を照らすように，ブッダの説く真理（ダルマ）も，あらゆる人々を照らし明らかにするのです。」（『ブッダ伝』，中村元，KADOKAWA）
○人生の真理はすべて，諺（ことわざ）や格言や名言といった簡潔な形で，いつでも私たちの目の前に明示（開示）されているのではないでしょうか。にもかかわらず，私たちは，心の目の曇りゆえに，それらの深意を理解したり，それらの重要性に気づいたりすることが難しく，人生の真理になかなか辿（たどり）り着くことができません。人生の真理を体得・実践し，真に人間らしく実り多い（自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な），生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れるようになるためにも，真理を真理であると見抜き，見分けられるだけの眼力（見識）を，人生のできる限り早い時期に，学問など（自分の経験から学ぶことや読書なども含め。）を通じてしっかり身に付けたいものです。なお，真理は全人類の共有財産です。真理を新たに発見した際には（実際には，「発見」ではなく，「再発見」であることがほとんどであると思いますが。），その独占権や優先権を主張することなく，誰もが自由に利用できる形で公表するなどして，できる限り多くの他者と分かち合うことをこそ心がけたいものです。（後書き）関連
