「人を憎まずして罪を罰するのが,名裁判官である。(セネカ)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○愛情や真心に裏打ちされていない言葉は相手の心に届きませんし,厳しく非難したり,罰したりするだけでは,相手を人間的に成長させたり,更生させたりすることはできません。むしろ,厳しく非難したり,罰したりするだけでは,相手を他罰的(他責的)・悲観的・自棄的にさせるだけであり,相手の人間的な成長や更生をかえって困難にさせてしまいます(その結果,同じような過ちを何度も繰り返させてしまうことになり,社会が大きな損害や不利益を被ることになります。)。そもそも,人間が犯す過ちのほとんどは,誰もが犯す可能性のあるものばかりです。他者を厳しく非難したり,罰したりするということは,いつか自分も他者から厳しく非難されたり,罰せられたりするということに他なりません。他者が過ちを犯した際には,「罪を憎んで人を憎まず」という精神を決して忘れることなく,自分のことを棚に上げたまま正義を振りかざして不寛容に責め立てたり,罰したりするのではなく,その責任は潔く取ってもらい,その償いは誠実に果たしてもらいながらも,同じ(同じような過ちを犯す可能性のある)人間同士として,できる限り共感的かつ寛容な対応(相手の人間的な成長や更生を促すような対応)を心がけたいものです。(17)関連