「最近は,経済成長はよくないと思う人も増えている。ものを買いつづけないと成りたたない世界なんて,なんか変だろう? 地球から,ものをつくるための原材料となる天然資源がなくなってしまったり,これ以上環境が破壊されたりしないように,社会は経済成長以外のことも考えていかなくちゃいけない。」(『こどもサピエンス史』,ベングト=エリック・エングホルム,久山葉子訳,NHK出版)
○私たちが暮らしている社会は,物質的には人類史上最も豊かな社会と言えますが,物質的に豊かになったことで,私たち人類の幸福度は本当に上がっているのでしょうか。物質的に豊かになることと私たち人類の幸福度が比例していないとしたら,これ以上物質的に豊かになることに,いったいどのような意味があるのでしょうか。私たちはそろそろ,物質的な豊かさではなく,心の豊かさを追い求める方向に舵(かじ)を切る必要があるのではないでしょうか。人間の欲望には限りがありませんので,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くの物を手に入れたとしても私たちの心が満ち足りるということはありません。常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,より多くの物(必要以上の物まで)を追い求め続けることになってしまいます。私たちはそろそろ,欲張り続けることをやめ,物質的な豊かさをある程度は犠牲にしてでも,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようになる必要があるのではないでしょうか。自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようになるなら,私たちはきっと,たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても自分が持っている物だけで満足できるようになり,今よりもっと心豊かに幸せな人生を送れるようになるはずです。(4)(6)(21)関連