○慢心し,自分は無知であるという自覚を失えば,必然的に謙虚に学ぶ姿勢も失ってしまい,そこで人間的な成長(成熟)や向上は止まってしまいます(結果的には,本当に無知な人間になってしまいます。)。そして,独り善がりな傾向を強めるとともに,あとは退歩・退行し,堕落するだけになってしまいます。しかし,慢心している人間は,自分は無知であるという自覚を欠き,自分は何でも知っているつもりになってしまっているので,何にでも口を差し挟もうとしますし,行動にもためらいがなく,総じて活動的です。しかも,自分は正しいことをやっているという意識が非常に強いので,たとえその行動が間違った行動であったとしても,その間違えに気づくことが難しく,したがって,行動にブレーキが掛かりにくく,間違った行動を無反省に何度も繰り返したり,どこまでもエスカレートさせてしまったりしがちです。「独り善がりな善意ほど怖いものはない」と言いますが,まさにそのとおりです。独善に陥り,他者や社会に迷惑を掛けたり,他者や社会に害をもたらしたりしないようにするためにも,自分は無知であるという自覚を,決して失わないようにしたいものです。自分は無知であるという自覚を失わない限り,謙虚に学ぶ姿勢を失うこともなく,独り善がりな傾向を強めてしまう(本当に無知な人間になってしまう)危険性は格段に低下すると思うからです。(12)関連