「嘲笑は狭い了見から立ち上る煙である。(テニソン)」,「嘲笑はたいてい心の貧しさを表す。(ラ・ブリュイエール)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○短所や欠点や弱みを持たない人間など存在しません。誰でも,長所や美点や強みだけでなく,短所や欠点や弱みを持っています(逆に言えば,誰でも,短所や欠点や弱みだけでなく,長所や美点や強みを持っています。)。したがって,他者の短所や欠点や弱みを平気で指摘して相手を見下したり,嘲笑したり,鬼の首でも取ったかのように騒ぎ立てたり,正義を振りかざして不寛容に責め立てたりすることができるということは,自分の短所や欠点や弱みを自覚できていないことの,すなわち,心の目が曇っていて,あるがままの現実を見ることができていないことの,あるいは,他者の長所や美点や強みを認めるだけの器量(余裕)がないことの証左と言えます。「侮辱に復讐するのは,敵と同じレベルに下がることであり,侮辱を許すのは敵をしのぐことになる」とも言いますので,そのような人間は相手にしないに限ります。「他人が自分の悪口を言っている時は,寝たふりをしているのがいちばんなんだ」と,村上春樹も『雑文集』(新潮社)の中で言っています。(3)(10)(12)(14)(17)関連