豊かで安全で便利な社会で暮らしていると,人間は独りでは生きていられない,孤立無援の状態では生きていられないという事実を,ついつい忘れてしまいます。特に,親の愛情に恵まれずに育った人は,自分は誰にも頼らずに自分独りの力で,これまで生きてきたし,これからも生きていくとの思いが強いかも知れません。私たちは,危機的な状況や困難な状況においては,その必要性もあり,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして互いに助け合ったり,幸せを分かち合ったりしようとしますが(そのような状況下においては,婚姻率や出生率も上がると言われています。),安全で平和な状況や物事がある程度自分の思い通りになっている状況においては,他者と協力し合う必要性が低下することもあり,むしろ,他者を競争相手(敵)と見なして互いに足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするようになってしまいがちです。そして,自分の思い通りにならない人付き合いを嫌い,自分の思い通りになる単独行動を好むようになりがちです。