「多すぎることばはさわがしい/こころの底の静けさがことばのふるさと」(「ことばのとおりに」(『すこやかに おだやかに しなやかに』所収),谷川俊太郎,佼成出版社)
○真理というものは本来,単純明快(簡単明瞭)なものなのではないでしょうか。したがって,その真理を表現するための言葉も,単純明快なものであるべきなのではないでしょうか。私たちには,諺(ことわざ)や常識のような単純明快なものを低級・低俗なものとして軽んじて,意味の分からない複雑難解なものを高級・高尚なものとして重んじる傾向がありますが,そのような傾向こそが,私たちが真理に近づくことを(その真理の深意を理解したり,重要性に気づいたりすることを)難しくしているのではないでしょうか。単純明快なものを,その単純明快さゆえに軽んじたり,複雑難解なものを,その複雑難解さゆえに重んじたりするような馬鹿なことはやめ,真理を真理であると見抜き,見分けられるだけの眼力(見識)を養いたいものです。もちろん,真理が単純明快なものであるからと言って,真理を体得し,実践することが容易であるとは限りませんし,真理は体得され(実生活に取り入れられ),日々の生活に役立てられてこそ意味があるのでしょうが。(前書き)(後書き)関連