「寿命とは天から授かったもので人にはどうしようもない。人にできるのはただ己れが授った寿命を畏れつつしんで受け入れ,与えられた寿命を精一杯よく生きようとつとめることだ。」(『足るを知る 自足して生きる喜び』,中野孝次,朝日新聞社)
○人生は短く,命は儚(はかな)いものです。しかし,だからと言って,人生を嘆き悲しんだり,必要以上に死を恐れたりする必要はないのではいでしょうか。死があるからこそ生きる喜びがあるのであり,生きる喜びがあるからこそ,私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに感謝したり,自分がこの世の中に生まれてこれたことに幸せを感じたりすることができるのですから。生きている間は,悔いが残らないように人生を大いに楽しみ,味わい尽くし(真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることに最善を尽くし),死が訪れた際には,それを泰然自若と受け止め,自分がこの世の中に生まれてこれたことや,自分がこれまで生きてこられたことに対する感謝の気持ちを新たにしつつ,静かに人生の幕を閉じればいいだけの話なのではないでしょうか。(8)(9)関連