「人は何かの出来事によって幸福になるのでも,不幸になるのでもない」,「すでに人は今ここで幸福である。」(『幸福の哲学』,岸見一郎,講談社)
○生きているということ,今ここでこうして生きていられるということは,よくよく考えてみれば一つの奇跡です。生きているということは,それほどに有り難いことなのであり,私たちは本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのではないでしょうか。そのことに気づき,心から感謝できるようにさえなるなら,幸運や才能や環境などに恵まれなくても,人が羨むような社会的成功(財産や地位や権力や名声など)を手に入れなくても,私たちは誰もが幸せになれるのではないでしょうか。たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような困難や苦労に見舞われようとも,幸せであり続けることが可能になるのではないでしょうか。要するに,人間の幸不幸は心の持ち方(心構えや心がけ)次第です。私たちはついつい,ままならない人生に不平不満ばかりを募らせてしまいがちですが,恨み言や泣き言を言っている暇があるなら,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づき,心から感謝できるようになり,ひいては,生きていることそれ自体に幸せを感じられるように,自分の心の持ち方を改めることにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(1)(7)(15)関連