「幸運に依存した幸福はすぐに失われる。そして,失われるような幸福は,そもそも最初から幸福ではない。」(『幸福の哲学』,岸見一郎,講談社)
○私たちは,幸運や才能や環境に恵まれなければ幸せになれないと勘違いしがちですが,それらに恵まれたからといって幸せになれるとは限りません。それらに恵まれている人たちは,それらに恵まれていない人たちの目には幸せそうに映るかも知れませんが,実際には,自分は幸せであると実感できているのは,その中のごく一部分の人たちだけなのではないでしょうか(しかも,自分は幸せであると実感できている理由は,幸運や才能や環境に恵まれていることとはまったく別のところにあるのかも知れません。)。そもそも,幸運や才能や環境に恵まれなければ幸せになれないのなら,ほとんどの人間は幸せになれないということになってしまいます。しかし,私たちは本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づき,心から感謝できるようにさえなるなら,私たちは誰もが,自分は幸せであると実感できるようになるのではないでしょうか。そして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,たとえどのような不運に見舞われようとも,たとえどのような逆境にあろうとも,幸せであり続けることが可能になるのではないでしょうか。(1)(6)(7)(8)(9)関連