「自分は幸福ではない,と思う者は,幸福ではない。(セネカ)」,「自分の財産は十二分にあると思えない者は,たとえ全世界の主人であっても,不幸である(エピクロス)」(『ローマの哲人 セネカの言葉』,中野孝次,岩波書店)
○同じような境遇にありながら,その境遇に満足し,感謝する気持ちを忘れることなく,常に満ち足りた気持ちで機嫌よく暮らしている人もいれば,その境遇に満足できず,感謝する気持ちを忘れ,常に不満を抱えたまま不機嫌に暮らしている人もいます。要するに,人間の幸不幸は,境遇によって決まるのではなく,本人の心の持ち方によって決まるということなのではないでしょうか。たとえどのような逆境にあったとしても,自分は幸せであると心の底から思えるなら,その人は確かに幸せなのですから(逆に,たとえどのような順境にあったとしても,自分は不幸であると思うなら,その人は確かに不幸なのですから),境遇を変えることにではなく(そもそも,境遇を自分の思い通りに変えることなど不可能ですが。),どのような境遇にあっても自分は幸せであると思えるように,自分の心の持ち方を改めることにこそ,関心を払い,力を注ぐべきなのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちはきっと,どのような境遇にあろうとも,幸せになり,幸せであり続けることが可能になるはずです。(前書き)(1)(2)(4)(5)(6)(7)(15)関連