「できるだけ,自分の境遇に不平をもらさないようにしなさい。・・・どれほど悲惨な状況にあっても,精神が安らかであれば,かならずや,なぐさめを見出せるであろう。」(『人生の短さについて他2篇』,セネカ,中澤務訳,光文社)
○人生はままならないものであり,「一難去ってまた一難」とも言うように,人生に困難や苦労は付き物です。しかし,人生を自分の思い通りにしたいと欲張るからこそ不平不満ばかりが募るのであり,人生はままならないものであるという事実をあるがままに受け入れることさえできるなら,たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような困難や苦労に見舞われようとも,不平不満ばかりを募らせてしまうようなことはなくなるのではないでしょうか。そして,不平不満ばかりを募らせ,心の目を曇らせてしまったり,心の平安を失ってしまったりするようなことさえなければ,私たちは,困難や苦労を補って余りあるほどの生きる喜びや幸せを人生に見いだすことが可能なのではないでしょうか。人生に隠されている(埋もれている)無限とも言える生きる喜びや幸せに気づけるようになり,ひいては,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるためにも,人生を自分の思い通りにしたいなどと欲張ることはやめ(常に小欲知足を心がけ),曇りのない眼や心の平安を保ち続けられるようになりたいものです。(1)(4)(6)関連