「神は細部に宿る(ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ)」(『教養としての世界の名言365』,佐藤優,宝島社)
○「神は細部に宿る」と言います。生きる喜びに満ちた幸せな人生を送りたいと願うのであれば,「大きな幸せ」ではなく,「小さな幸せ(ささやかな幸せ)」をこそ大切にすべきなのではないでしょうか。社会的成功のような「大きな幸せ」は,滅多に手に入りませんし,手に入ったとしても,意外に底の浅い束(つか)の間の幸せであることが多いものです。他方,「小さな幸せ」は,誰の人生にもぎっしり詰まっていて,その気になりさえすれば誰でも簡単に手に入れることができますし(他者と競い合ったり,奪い合ったりする必要などまったくありません。),意外に底の深い一生ものの幸せになり得ます。様々な執着や雑念などから解放され,曇りのない眼や心の平安を取り戻すとともに,幸せに対する感度を研ぎ澄ますことによって(より具体的には,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けることなどによって),人生に隠されている無限とも言える「小さな幸せ」に気づけるように,ひいては,生きていることそれ自体に(ただ呼吸をしたり,食事をしたり,歩いたりということにさえ)幸せを感じられるようになりたいものです。(2021年2月2日)(1)(4)(6)(7)(8)関連