「仏の教えに従えば,何につけても執着は禁物なのである。(方丈記)」(『日本の古典をよむ14 方丈記・徒然草・歎異抄』,神田秀夫・永積安明・安良岡康作校訂・訳,小学館)
○例えば,財産や地位や権力や名声などを手に入れることに執着すればするほど,それらが手に入らないことでの不満は大きなものになります。そして,不平不満を募らせた挙げ句,妬みそねみ,恨みつらみ,失意失望,自暴自棄といった不幸な心理状態に陥ってしまう可能性も高くなります。常に満ち足りた気持ちで,心の平安を保ちながら幸せに生きたいと願うのであれば,何事にも執着することなく,自分が持っている物(自分に与えられている物)だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。自分が持っていない物を欲しがり,それらを持っていないことに不満を募らせたり,自分が持っている物に執着し,それらを失うまいとしてじたばたしたりすることなく,自分が持っている物の多さに気づき,それらを持っていることに心から感謝できるようになり,また,自分が持っている物に対する執着さえ捨て,たとえそれらを失うことになったとしても泰然として(心の平安を失わないで)いられるようになる必要があるのではないでしょうか。(2021年1月23日)(1)(4)(6)(8)関連