「けっして満足することがないという事実,これが人生の根本的な問題である。」(『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門』,ウィリアム・ハート,太田陽太郎訳,春秋社)
◯人間の欲望には際限がなく,放っておけば肥大化する一方です。どれだけ恵まれた境遇にあろうとも,欲望の肥大化に歯止めを掛けない限り,心が満ち足りるということはありません。そのような状況が長く続けば,多くの人間は,自分は不幸であると思い込むようになり,幸せそうな他者を妬んだり,被害感を勝手に募らせては他者を恨んだりするようになってしまいます。そして,互いに嫌い合ったり,足を引っ張り合ったりするようになってしまいます。他者と仲良く助け合い,幸せを分かち合えるようになるためにも,人間は幸せである必要があり,その前提として,欲望の肥大化を自制し,どのような境遇にあろうとも満ち足りた気持ちで生活できるようになる必要があるのではないでしょうか。まずは,自分が今ここでこうして生きていたられることの有り難さを十分に噛(か)み締めることによって(自分がどれだけ恵まれているかということに気づくことによって),欲望の肥大化に多少なりとも歯止めを掛けられるようになりたいものです。(2020年8月2日)(3)(4)(6)(10)(11)(16)(18)関連