「技術革新が生活の利便を次つぎに進め,人間はそれに踊らされて次なる欲望を満たそうとする。そんな状況では,充足感や幸福感を覚えることが影を薄めてゆくのも道理である。」(「ビールの泡あるいは一陣の心地よい風」(『文藝春秋 新幸福論 本当の幸せとは?』所収),赤瀬川隼,文藝春秋)
◯世の中がどんどん豊かになり,安全になり,便利になっていくことは,有り難いことだと思います。しかし,この豊かで安全で便利な生活を当たり前と思い,常にそれ以上を求め続けるなら,私たちはいつまでたっても満ち足りることができず,自分が恵まれていることに気づくことさえ難しくなってしまいます。自分がどれだけ恵まれているのかということに気づき,満ち足りた気持ちで毎日を過ごせるようになるためには,この豊かで安全で便利な生活を当たり前と思うことなく,そのような生活を送れることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝できるようになる必要があるのではないでしょうか。(2020年7月25日)(4)(6)(7)(20)関連