「うっかり「自分ほど不幸な人間はいない」というタイプの自己憐憫に居着くと,なかなかそこから出られなくなる。」(「コロナ禍についてのアンケート」(ブログ「内田樹の研究室」所収))
◯自分の人生に満足できていない人間は,総じて自分と他者を比較しやすく,その結果,自分を哀れんでは自分は不幸であると思い込んでしまいがちです。そして,自分が不幸であることの原因や責任を他者や運命に求めては,他者を恨んだり,他者を責め立てたり,運命を呪ったり,不運を嘆き悲しんだりしてしまいがちです。しかし,いくら恨み言や泣き言を言ったところで状況が好転するはずもなく,むしろ,世の中の否定的な側面ばかりに目を向ける習慣を身に付けることによって,世の中の肯定的な側面が目に入らなってしまい,不幸な状況から抜け出すことがどんどん難しくなってしまいます。そのような自縄自爆状態に陥らないようにするためにも,自分が今ここでこうして生きていられることを当たり前と思うことなく,その有り難さに深く思いを致し,自分がすでに持っているものだけで,自分にすでに与えられているものだけで満足し,どのような境遇にあっても自足した人生を送れるようになりたいものです。(2020年7月24日)(3)(4)(5)(6)(7)(15)(18)関連