「人は欲求と欲望とが多ければ多いほど,その同胞と争う機会が多いものであり,それらの争いは原因が正しくないだけ,執念深いものです。」(『簡素な生活 一つの幸福論』,シャルル・ヴァグネル,大塚幸男訳・祖田修監修,講談社)
◯人間の欲望には際限がなく,その肥大化を放置すれば,欲望を充足させるために必然的に他者と争うようになり,他者と敵対するようになってしまいます。そして,最終的には孤立無縁状態に陥り,ただ普通に生きることさえ困難になってしまいます。私たちは直接的なものも間接的なものも含めて他者の支援や協力があるからこそ生きていけるのであり,その事実を正しく認識した上で,他者と仲良く助け合い,幸せを分かち合って生きる必要があるのではないでしょうか。そして,そのためにも,より多くのものを手に入れようとするのではなく,より少ないものでも満足できるよう,今ここでこうして生きていられることは一つの奇跡であり,生きているということは,ただ普通に生きているというだけで十分に値打ちのある幸せなことなのだと気づけるようになる必要があるのではないでしょうか。(2020年7月23日)(1)(4)(6)(11)(14)(18)(19)(20)関連