「おいらあね,政治でもなんでも,一人残らず敵になってくれなくちゃあ,思うような仕事は出来ねえと考げえている。こっちに赤誠というせえあれあ,そ奴(いつ)が何よりの相棒だよ。みんなによく思われ,惚(ほ)れられて,なにが出来るえ」(『勝海舟(二)』,子母沢寛,新潮社)
○日本人は他者からの評価を過度に気にしやすい国民である言われてていますが,他者からの評価など,そのほとんどは噂(うわさ)の域を出ず,ちょっとしたことですぐに手のひら返しに変わってしまうような無責任でいい加減なものです。そんなものに振り回されて,自分が本当にやりたいと思える好きなことを見付け損なってしまったり,諦めてしまったり,自分の信念を捻(ね)じ曲げてしまったり,自分が本当に信じることのできる目標や理想を見失ってしまったり,自分が進むべき道を前進し続けることを後回し(先延ばし)にしてしまったりしたとしたら,私たちはきっと,自分の人生に大きな悔いを残すことになると思います。自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社会の役に立ち,思い残すことのない充実した有益な人生を送りたいと望むのであれば,他者からの評価などに気を散らすことなく,自分が本当にやりたいと思える好きなことを見付け,それに打ち込むことや,自分の信念や自分が本当に納得することのできる(自分に恥じることのない)生き方を貫き通すことや,自分が信じる目標や理想に向かって自分が進むべき道を自分の歩幅で一歩ずつ前進し続けることなどにこそ,気持ちを集中し,限りある大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。(14)関連