「いくらでもそのへんに遍在し,誰が使いこなしてもよくて,増えもせず減りもしない仏法を,自分だけのものにしたがる輩(やから)がいるものです」(『道元禅師(中)』,立松和平,新潮社)
○真理は,全人類の共有財産です。たとえ自分が発見した真理であったとしても,独り占めすべきものではありません。私たちは,他者(先人も含め。)が発見し,誰もが自由に利用できる形で記録し,蓄積してくれた真理のお陰で,余り遠回りをすることなく,真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることが可能になるのですから,私たちが発見した真理についても(幸運にも発見できたらの話ですが。),独り占めすることなく,できる限りたくさんの他者(後人も含め。)と分かち合い,共有することをこそ目指すべきであると思います。もちろん,全人類の共有財産であるとは言っても,真理を真理であると見抜き,見分けられるだけの眼力(見識)がなければ「宝の持ち腐れ」になってしまいますので,真理を体得・実践し,実り多い幸せな人生を送るためには,まずは,そのような眼力を,人生のできる限り早い時期に学問など(自分の経験から学ぶことや読書なども含め。)を通じてしっかり身に付ける必要がある訳ですが。(12)(後書き)関連