「そもそも真実の道は本来目の前になに不足なくそなわり,あらゆるところに通達しているものです。真実の道はもちろん自分の心の中にもあるのですから,自己の正体を照らしだす修行をすれば,すべては明らかになるでしょう。それが坐禅です。坐禅とは仏の姿をすることによって,自分が仏に成るという修行なのですよ。」(『道元禅師』,立松和平,新潮社)
○この宇宙に存在するすべての物は,この地球上に生存する多種多様な生き物も含め,もとを正せば,たった一つの物が分化・発展する過程において派生してきた物と言えます。もともと一つの物だったわけですから,すべての物は深いところでつながっており,何らかの形で影響を与え合っているはずです。「一芸に達する者は諸芸に達する」とも言うように,「一芸(個)」を探究することによって「諸芸(普遍)」に至ることができるのも,そのためであると思いますし,私たちは,自分の内面を深く掘り下げることによって普遍的な真理に至ることも可能なのではないでしょうか。人間はどのように生きるべきかという問いの答えを知るためにも,私たちは,まずは自分の身体の声や心(魂)の声にしっかり耳を傾ける習慣を身に付ける必要があるのではないでしょうか。(8)(11)(12)(後書き)関連