「むずかしいことをやさしく/やさしいことをふかく/ふかいことをおもしろく(井上ひさし)」(『365日 一日一言』,齋藤孝,世界文化社)
○私たちは,複雑難解なものを高級・高尚なものとして重んじがちであり,単純明快なものを低級・低俗なものとして軽んじがちですが,「真理は子供の口から出る」(プラトン)とも言うように,真理というものは本来,単純明快なものなのではないでしょうか。もちろん,単純明快なものであるからと言って,それを体得し,実践することが容易であるとは限りませんが。人生の真理を体得・実践し,真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れるようになるためにも,表面的な複雑難解さや単純明快さに惑わされることなく,真理を真理であると見抜き,見分けられるだけの眼力(見識)を,学問など(自分の経験から学ぶことや読書も含め。)を通じて人生のできる限り早い時期に身に付けたいものです。真理は何一つ隠されることなく,いつでも私たちの目の前に単純明快な形で開示されています。いま自分の目の前に明示されている真理を見過ごさないようにしたいものです。(12)(後書き)関連