「(幕末に)西洋人がはじめて日本を訪れ,日本人の姿を目(ま)の当たりにする。そのとき,彼らが最初に抱く印象はおおよそ同じだった。それは,日本人がじつに幸福そうな国民であるということだ。」,「日本人が幸福そうでしかも陽気だったという記述は,枚挙にいとまがない。」,「そしてなんといっても,当時の人々はわずかなモノしか必要としなかった。」,「必要最低限の暮らしができれば,日々幸せで楽しい・・・。日本人はそんな民族だったのである。」(『日本は外国人にどう見られていたか』,「日本再発見」倶楽部,三笠書房)
○必要以上の物やお金を持っているのに常にしかめっ面で不機嫌に暮らしている人間と,必要最小限の物やお金しか持っていないのに常に笑顔で機嫌よく暮らしている人間の違いは,いったいどこにあるのでしょうか。人間の欲望には際限がありませんので,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くの物やお金を持っていたとしても,私たちの心が満ち足りるということはありません。逆に,欲張り続けることさえやめれば,たとえ必要最小限の物やお金しか持っていなかったとしても,私たちは満足することが可能になります。常に満ち足りた気持ちで幸せな人生を送りたいと望むのであれば,あるいは,持続可能性の高い(自然環境にかかる負荷の少ない)社会を実現したいと望むのであれば,社会や時代の風潮に逆らってでも(経済成長をある程度は犠牲にしてでも)欲張り続けることを今すぐにやめるべきなのではないでしょうか。必要以上の物やお金まで手に入れようとすることにではなく,必要最小限の物やお金で満足できるように自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようになることにこそ,関心を払い,力を注ぐべきなのではないでしょうか。(4)(6)(7)(21)関連