「平民も奴隷も征服者も/いつの時代も 認めている/地上のこの最高の幸福は/ただただ その人の身におのずからそなわるものにあることを(ゲーテ)」(『幸福について』,ショーペンハウアー,鈴木芳子訳,光文社)
○私たちは,他者と競い合って社会的(世俗的)な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないと勘違いしがちですが,そんなものを手に入れなくても,私たちは本来,生きているというだけで(大自然の神秘的とさえ言える精妙な仕組みや働きによって,あるいは,数知れぬ他者の直接的又は間接的な支えや助けによって生きていられるというだけで)すでに十分に幸せなのではないでしょうか。そのことに気づき,感謝する気持ちを忘れさえしなければ,私たちは誰もが例外なく,幸せになり,幸せであり続けることができるのではないでしょうか。私たちには生まれ付き,幸せであるための条件がすべて揃(そろ)っているのであり,自分の外に幸せを求める必要などまったくないのではないでしょうか。他者と競い合って社会的な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないなどといったデマを鵜呑(うの)みにしたり,そのようなデマに踊らされたりすることなく,人間は生きているというだけですでに十分に幸せなのだということに一日も早く気づき,真の幸福を手に入れられるようになりたいものです。(1)(2)(4)(6)(7)(8)(10)(14)関連