実り多い幸せな人生を送るために

真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送るために

 自戒の念を込め,どのようにすれば真に人間らしく(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れるのかということについて,あるいは,実り多い幸せな人生を送ることは誰にでも可能であるということについて,様々な名言などをヒントにしつつ(それらに含まれている人生の真理を私なりに理解しつつ),できる限り分かりやすく筋道立てて説明していきたいと思います。皆様が実り多い幸せな人生を送る上において,多少なりともお役に立てれば幸いです。               皆様の人生が,実り多い幸せなものでありますように!

(9)③老いることや病気になることや死ぬことにさえ,肯定的な側面はある。

 何事にも一長一短があり,一般的には否定的なものとして捉えられている,老いることや病気になることや死ぬことにさえ,肯定的な側面はあります。実際,私たちは,老いることによって,欲望の肥大化が自然に抑えられるようになり,足るを知ること(自分の人生に満足すること)がより容易になりますし,財産や地位や権力や名声などに対する執着からも徐々に解放され(そのことに伴って他者と競い合う必要性も低下し),他者と仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりすることが,より容易になります。最近では,社会の高齢化が大きな問題になっていますが,社会が高齢化するにつれて戦争や犯罪は減少する傾向があると言われています。また,私たちは,病気になることによって,健康や命や他者(他者の支えや助け)の有り難さを痛感し,ただ健康でいられるというだけで,あるいは,ただ生きていられるというだけで幸せを感じられるようになりますし,自分や他者の命を粗末に扱うことなく,大切にできるようになります。人間の致死率は100パーセントであり,私たちはいつか必ず死にますが,死ぬことにさえ肯定的な側面はあります。実際,もし人間が不死身であったら,世の中は人間で溢(あふ)れ返ってしまいますし,新たに人間が誕生する余地がなくなってしまいます。そもそも,死があるからこそ生きる喜びがあり,生きる喜びがあるからこそ私たちは,ただ生きているということにさえ,感謝したり,幸せを感じたりすることができるのではないでしょうか。そして,生きていることそれ自体に感謝したり,幸せを感じたりすることができればこそ,私たちは,たとえどのような逆境にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても,生きている限りは常に幸せな人生を送り続けることが可能になるのではないでしょうか。もっとも,本物の死を体験したことのある人間はいないのですから,死んでからのことは誰にも分からず,死を否定的・悲劇的(悲観的)なものとして捉えること自体が間違っている可能性もあるわけですが。