幸せであることは,すべての人間の共通の望みであるとともに,有益無害な人生を送ることを望む真っ当な社会人にとっての義務であるとさえ言えますが,生きているということは,本来それ自体が心から感謝すべき有り難いことであり,幸せなことなのですから,幸せであることは,人生の目標やゴールではなく,人生の大前提,あるいは,人生のスタートラインと言えるのではないでしょうか。私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝しつつ(自分が幸せであることを噛(か)み締めつつ),自分が幸せであることを大前提として,幸せなだけでなく,真に人間らしく実り多い,自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な人生を送ることをこそ目指すべきなのではないでしょうか。