「過去と未来という二つの永遠が出合うこの現在という瞬間の上に位置をさだめ,そこを踏みしめて生きたいと思ってきた。」(『ウォールデン』,ヘンリー・D・ソロー,酒本雅之訳,筑摩書房)
○現在とは,過去と未来とを区切る今この瞬間のことですが,私たちが生きることができるのは,現在,すなわち,今この瞬間だけです。私たちは過去や未来に生きることはできず,今この瞬間にしか生きることができないのですから,今この瞬間を疎(おろそ)かにするということは,生(人生)そのものを疎かにするということに他なりません。幸せであるというのも,今この瞬間が幸せであるということなのですから,過去や未来などに心を奪われて今この瞬間を上の空で(心ここに在らずという状態で)生きている人間が,幸せな人生を送れるはずがありません。また,改めて言うまでもなく,今この瞬間を生きることができるのは,今この瞬間だけです(この世の中は無常なのですから。)。幸せな人生を送れるようになるためにも,この掛け替えのない今この瞬間を決して疎かにすることなく,常に心を込めてマインドフルに今この瞬間を生き,今この瞬間を楽しみ,細部に至るまで丁寧に(「神は細部に宿る」と言います。)今この瞬間を味わい尽くせるようになりたいものです。(8)関連