「自個の著作を売りて原稿料を取るは少しも悪い事に非ず。されどその著作の目的が原稿料を取るといふ事より外(ほか)に何もなかりしとすれば,著者の心の賤(いや)しき事いふまでもなし。」(『筆まかせ 抄』,正岡子規,岩波書店)
○私たちが働くのは,第一には,お金を稼ぐためであり,生きていくためです(改めて言うまでもなく,現代社会においては,お金がなければ生きていけません。)。しかし,人生の目的は,ただ生きることにあるのではなく,より善く,より人間らしく生きることにあるのですから(もちろん,生きているということは,ただ生きているだけで十分に価値のある有り難いことですが。),働くことが,お金を稼ぐための手段であるにとどまらず,より善く,より人間らしく生きることにもつながっているのが理想と言えます(私たちは,人生のかなりの部分を働いて過ごすわけですから。)。現実は厳しく,必ずしも自分が就きたい仕事に就けるとは限りませんが,たとえどのような仕事に就いたとしても,その仕事を通じて自分を人間的に成長(成熟)・向上させ続けられるように(そのことを通じて自分の可能性を十分に花開かせ,実を結ばせられるように),また,多少なりとも他者や社会の役に立てるように,最善を尽くしたいものです。(1)(11)(13)(14)(21)関連