「奇妙な逆説だが,自分をありのままに受け入れた時に,私は変わることができる。(カール・ロジャース)」(『マインドフル・フォーカシング』,デヴィド・I・ローム,日笠摩子訳,創元社)
○あるがままの現実を受け入れることができなければ,現実にうまく対処することは難しく(適応的な生活を送ることはできず),いつか必ず行き詰まってしまいます(いつか必ず不適応状態に陥ってしまいます。)。私たちは,あるがままの現実をあるがままに受け入れられるようになってこそ,行き詰まった状態から新たな一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。例えば,私たちは,人生が行き詰まってしまったときに,それを他者や社会のせいにしがちですが,人生の行き詰まりの本当の原因や責任は,ほとんどの場合,自分(自分の心の持ち方や考え方や生き方など)にあります。したがって,人生の行き詰まりの原因や責任を他者や社会に求め,他者や社会を恨んだり,責め立てたりしている限り,人生の行き詰まりを打開することはできません。しかし,人生の行き詰まりの原因や責任は自分にある(少なくとも,自分にもある)という事実をあるがままに受け入れられるようになるなら,自分を変えることによって人生の行き詰まりを打開するという新たな道が自然に開かれます。不適応状態に陥らないようにするためにも,また,自分を人間的に成長(成熟)・向上させ続けるためにも,あるがままの現実やあるがままの自分(心の持ち方や考え方や生き方などに様々な問題を抱えている自分)をあるがままに受け入れられるだけの曇りのない眼や素直に反省する(自分の心の声に素直に耳を傾ける)姿勢などを失わないようにしたいものです。(12)(14)(15)関連