「その(金銭の)理想的な量とは,貧困に陥ることも,貧困から遠く離れてしまうこともない程度の量なのである。」(『人生の短さについて他2篇』,セネカ,中澤務訳,光文社)
○私たちは,お金がなければ生きていけません。お金はそれほど重要なものです。しかし,お金は人生の手段であるに過ぎず,目的ではありません。私たちは,生きていくためにお金を稼いでいるのであり,お金を稼ぐために生きているのではありません。お金は,生きていくのに必要な程度の額,できればそれに多少上乗せした程度の額があればそれで十分なのではないでしょうか。私たちはお金に執着しがちですが,執着し過ぎれば,心の目が曇り,本当に大切な物を見失ってしまいます。例えば,普通のつましい暮らしに生きる喜びや幸せを見いだしたり,生きていることそれ自体に幸せを感じたりすることが難しくなってしまいます。本当に大切な物(私たちの命,その命を守り,私たちが生きることを可能にしてくれている宇宙や自然や人体の神秘的とさえ言える精妙な仕組みや働き,私たちの人生を成り立たせてくれている数知れぬ他者の直接的・間接的な支えや助けなどなど)はお金では買えない,ということも分からなくなってしまいます。本当に大切な物を見失わないようにするためにも,お金には執着し過ぎないように,細心の注意を払いたいものです。(1)(14)(20)関連