「武士の面目は他聞他目にあらず,常に自聞自目に恥ずることなきよう生きよ・・・/武士の面目とは,おのれ自身に恥じぬ行いにちがいなかった。」(『一路』,浅田次郎,中央公論新社)
○他者からの評価(世間の評判)など,ちょっとしたことですぐに手のひら返しに変わってしまうような無責任でいい加減なものです。そのような他者からの評価に振り回されて,自分の信念をねじ曲げてしまったり,自分が進むべき道を見失ってしまったりすることほど馬鹿らしいことがあるでしょうか。もちろん,私たちは他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのですから,他者に対する感謝の気持ちや関心は失うべきではありませんし,他者に対する支援や協力は積極的に行うべきであると思いますが,毀誉褒貶(きよほうへん)に一喜一憂する必要などまったくありません。大切なのは,自分が信じる目標や理想に向かって前進し続けることを通じて,自分の可能性を十分に花開かせること(そして,できることなら,そのことを通じて他者の役に立つこと)なのではないでしょうか。人生に大きな悔いを残さないようにするためにも,他者からの評価などに気を散らすことなく,自分が本当に納得することのできる(自分自身に恥じることのない)生き方を貫き通すことや,自分が進むべき道を(自分が信じる目標や理想に一歩でも近づけるように)邁進(まいしん)することにこそ気持ちを集中し,全力を注ぎたいものです。(2021年6月21日)(11)(14)関連