「賢者はいつも自分の欲するとおりに生きる。なぜなら彼は自分の手に入れることができるものだけを欲するからである。(エピクテトス)」(『文読む月日(中)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯人生は,自分の欲するとおりにはならず苦である,と言うが,自分の手に入れることができるものだけを欲するならば,人生は苦ではなくなる,ということでもある。しかし,これは,自分の欲望を無理に抑え込み,自分自身に我慢を強いるというようなことではなく,日常生活におけるささやかな満足にも大きな喜びや幸せを感じられるように自分の感性を研ぎ澄まし,磨き上げるということであるに違いない。(2019年8月3日)