「人はしばしば,幸福に必要な条件はみんな自分の手元にそろっていると気づかずに,どこかほかの場所や未来にそれを探し求めます。息ができる,それだけでも真の幸福を感じるのに十分な理由ですが,私たちは鼻づまりや喘息にでもならないかぎりなかなかそう思えません。また美しい色彩や形が見られるだけで幸せなのに,視力を失うまではなかなかそれに気づかないのです。走ったり飛び跳ねることのできる健康そのものの手脚がある,自由な環境の中で生きられる,家族と離れて生活しなくてもすむ---これらはもちろん,ほかにもたくさんのことが幸福の種(たね)になりえます。」(『ブッダの〈気づき〉の瞑想』,ティク・ナット・ハン,山端法玄・島田啓介訳,野草社)
◯いつでもどんな状況においても,幸せであるために必要な条件はすべて自分の手元にそろっている。それを奪い去ることは誰にもできない。人間が幸せであるためには,まずはそのことに気づく必要がある。(2019年7月8日)