「(河合)たとえばね,少年A事件が起こったときに,子供たちが陰に隠れて悪いことをしたらいかんからということで,そのへんの樹木を全部切ってしまったんです。僕はそれを聞いてものすごく腹が立ちました。話はまるっきり逆なんですよ。子供たちは大人の見ていないところで,子供なりに悪いことをして成長するんです。いつもいつも大人から見られているから,あんなことが起こってしまうんですよ。」(『約束された場所で』,村上春樹・河合隼雄,文藝春秋)
◯管理しようとすればするほど,支配しようとすればするほど,その反動から,管理できないもの,支配できないものが増え,力を増す。親というものはなぜ子供の全てを管理し,支配したがるのだろう。多少危なっかしくても,見て見ぬ振りをして子供の主体性に任せるということがなぜできないのだろうか。子供に対する基本的な信頼が欠けているのだろうか。他人に対して権力を行使できるということが,それほどにも快感なのだろうか。(2019年5月22日)