「感謝の心は他者に対する寛容の精神を培い,健全な社交性をはぐくむ。(アントニオ・ダマシオ)」(『感謝の習慣』,スコット・アラン,弓場隆訳,ディスカヴァー・トゥエンティワン)
○私たちは,他者の支えや助けがなければ生きていられません。実際,衣・食・住のどれ一つを取っても,完全に自給自足できている人などいないはずです。にもかかわらず,私たちは,人間は独りでは(孤立無援の状態では)生きていられないという事実を否認しがちであり,他者に対する感謝の気持ちを忘れてしまいがちです。そして,他者を競争相手(敵)と見なしては敵対し,他者と足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりしてしまいがちです。しかし,私たちと他者は,互いに支え合い,助け合ってこそ生きていられるのであり,その意味で,私たちと他者は本来一体なのですから(私たちと他者は,持ちつ持たれつの相互依存関係にあるわけですから),他者を協力相手(味方・仲間)と見なして融和し,仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりするような生き方こそが,人間本来の生き方と言えるのではないでしょうか。そのような真に人間らしい生き方ができるようになるためにも,人間は独りでは生きていられないという事実を正しく認識し,心に深く刻み付け,他者に対する感謝の気持ちを決して忘れないようにしたいものです。(11)(14)(20)関連