「いかに生くべきかという問題では,多数者のいる方が正しいということには絶対にならない。むしろ大衆はつねに誤るとセネカは考えていた。」(『ローマの哲人 セネカの言葉』,中野孝次,岩波書店)
○世間の評判や多数者の意見(多数決の結果も含め。)が,いつでも正しいとは限りません。むしろ,世間の評判や多数者の意見の多くは,ちょっとしたことですぐに手のひら返しに変わってしまうような無責任でいい加減なものです。そんなものに振り回されたり,踊らされたりすることほど馬鹿らしいことはないのではないでしょうか。世間の評判や多数者の意見を鵜呑(うの)みにし,自分の目で確かめたり,自分の頭で考えたり,判断したりすることを怠れば,後で必ず痛い目をみることになります。人生は短く,しかも,たった一度きりです。そのたった一度きりの短い人生に大きな悔いを残さないようにするためにも,世間の評判や多数者の意見などは余り気にせず,自分が信じる目標や理想に向かって(より善い,より人間らしい生き方を目指して)自分が進むべき道を邁進(まいしん)することや,勇気を持って自分の信念を貫き通すこと(自分が本当に納得することのできる,自分に恥じることのない生き方貫き通すこと)にこそ,気持ちを集中し,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(14)関連