「人というのは欲望がある程度満たされると,次の幸福が欲しくなる。だから幸福というのは,どこで線を引くかということでしょうね。水木サンのように(私のように),下のほうに線を引いておけば,生きるのが楽になるんです。人と比べるから,不平不満を感じるわけですよ。」(『ゲゲゲのゲーテ』,水木しげる,双葉社)
○人間の欲望には限りがなく,放って置けばどこまでも肥大化していきます。したがって,私たちは,自分の欲望にブレーキを掛けない限り,たとえどれだけ多くの物を持っていたとしても,自分が持っている物(自分に与えられている物)だけでは満足できず,常に不満を抱えながら生活していくことになります。そして,挙げ句の果てには,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうとともに,自分より幸せそうに見える他者を妬み,そのような他者の足を引っ張ろうとしたり,そのような他者に危害を加えよう(損害を与えよう)としたりするようにさえなってしまいます。そのような事態に陥らないようにするためにも,自分の欲望に適度にブレーキを掛け,常に小欲知足を心がけることによって,たとえ持っている物がどれだけ少なかったとしても(たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても),自分が持っている物だけで満足し,常に満ち足りた気持ちで生活できるようになりたいものです。(3)(4)(6)(10)関連