「真の人(真に知恵のある人)は徳を隠し,愚かに見せかけるわけではない。もともと,賢・愚とか得・失とかいった相対世界の境地にいないのである。(徒然草)」(『日本の古典をよむ14 方丈記・徒然草・歎異抄』,神田秀夫・永積安明・安良岡康作校訂・訳,小学館)
○私たちは,自分の人生に満足できていないからこそ,あるいは,自分が進むべき道が定まっていないからこそ,他者の人生や他者の動向が気になるのではないでしょうか。そして,自分と他者を比較して他者と張り合おうとするからこそ,自分の人生にますます満足できなくなってしまったり,自分が進むべき道がますます定まらなくなってしまったりするのではないでしょか。自分の人生に満足できている人や,自分が進むべき道が定まっている人が,自分と他者を比較したり,他者と張り合ったりすることに強い関心を持つとは思えません。実り多い幸せな人生を送りたいと願うのであれば,自分と他者を比較したり,他者と張り合ったりすることにではなく,足るを知り,自分の人生に自足できるようになることや,自分の人生に自分なりの目標や理想を見いだし,見失わないようにすることにこそ大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。(2021年2月24日)(3)(14)(18)関連