「仁者は常に人の是(ぜ)を見る。不仁者は常に人の非(ひ)を見る。(伊藤仁斎)」(『座右の銘』,「座右の銘」研究会編,里文出版)
○誰の心の中にも,善人と悪人が同居しています。例外はなく,完全な善人,完全な悪人などというものはこの世の中に存在していません(さらに言えば,生まれ付きの善人,生まれ付きの悪人などと言うものもいません。)。しかし,他者の心の中の悪人にばかり目を向けていたのでは,その他者は私たちの目の前に悪人としてしか立ち現れようがありません。私たちもきっと,周りの人たちからそのような目を向けられ続ければ,善人として振る舞うことが難しくなってしまうのではないでしょうか。悪人ばかりの世の中で暮らしたくないと願うのであれば,また,自分がこの世の中で善人として暮らしたいと願うのであれば,私たちはお互いに,相手の心の中の悪人(短所や欠点や弱みなどの否定的側面)にではなく,善人(長所や美点や強みなどの肯定的側面)にこそ目を向け,その相手が私たちの目の前に善人として立ち現れてこられるようにする必要があるのではないでしょうか。相手のためにも,自分のためにも。(2020年11月14日)(3)(17)関連