「否定的なものは何者でもない。悪いものを悪いと言ったところで,それがいったい何の役に立つか?(エッカーマン『ゲーテとの対話』)」,「たしかにゲーテの言うとおり,世の中には不平家,不満家といった人種がいて,たえず他者を罵(ののし)ったり,攻撃したり,悪口を言ったりしている。・・・だが,そういう人達の言説は決して人を愉快にしたり,元気づけたり,幸福にしたりしない。」,「憎んだり,否定したりする人からは,何も学ぶことができない。」(『人生の実りの言葉』,中野孝次,文藝春秋)
○世の中(そこに暮らす私たち人間も含め。)に否定的な側面があるのは事実ですが,肯定的な側面があるのも事実です。否定的な側面ばかりに目を向けて肯定的な側面に目を向けようとしないのは,あまりにも偏った不公平なものの見方と言えるのではないでしょうか。この世の中で生きていることに(この世の中に生まれてきたことに)幸せを感じられるようになり,感謝できるようになるためにも,この世の中の否定的な側面にではなく,肯定的な側面にこそ意識的かつ積極的に目を向ける習慣を身に付けたいものです。私たちは,この世の中を否定し,不幸になるためにではなく,この世の中を肯定し,幸せになるためにこそ生きているのであり,生まれてきたのですから。(5)(9)関連